意思能力・行為能力

意思能力・行為能力

意思能力とは

有効に意思表示をする能力、自己の行為の結果を弁識するに
足りるだけの精神能力を指す。
必要とされる判断能力の程度は民法第7条の事理弁識能力程度だと解される

第七条  精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。

大まかには10歳以上の子供程度の精神能力が必要。

 

意思無能力者とは

自己の行為の結果を弁識するに足りるだけの精神能力を
持たない者(行為能力者と意思能力は別の問題)
・高度の精神病者
・幼児
・泥酔者
・認知症患者
などがある

 

意思無能力者が行った契約などの法律行為は明文の規定はないが無効とされる

 

行為能力者とは

行為能力者とは、単独で有効に法律行為をすることが出来る地位を言う。

 

 

制限行為能力者とは

制限行為能力者とは、単独で完全に有効な法律行為が出来ない者。

 

・未成年

・成年被後見人

・被補佐人

・同意見付与の審判を受けた被補助人

 等が該当する。

 

※制限行為能力者が単独で行った法律行為は原則的に取り消せる。

 取消は制限行為能力者本人でも、代理人でも出来る

未成年者
 
意義
原則 20歳未満のもの
例外 成年擬制(未成年でも婚姻をした者は成年とみなされる)
    成年擬制の効果は婚姻した後に婚姻の取り消しや離婚をしても消えな
    い

 

能力
原則 法律行為をするには法定代理人の同意が必要
例外 ・単に権利を得、又は義務を免れる行為
    ・法定代理人が目的を定めて処分を許した財産の目的範囲内での処分
    ・法定代理人が目的を定めずに処分を許した財産の処分(小遣いなど)
    ・許可された営業に関する行為

 

 

(保護者の権能)
保護者…法定代理人(原則:親権者 例外:未成年後見人)
代理権…有り
同意権…有り
追認権…有り
取消件…有り

 

成年被後見人

 

意義
精神上の障害により意思能力を欠く常況にあり、家庭裁判所の後見開始の審判を受けたもの

 

能力
原則 自ら法律行為をすることはできない(成年被後見人の法律行為は常に
    成年後見人が代理して行う)
例外 日用品の購入、その他日常生活に関する行為は単独ですることが出    
    来る

 

(保護者の権能)
保護者…成年後見人
代理権…有り
同意見…無し(意思能力が常に無いので同意を与えても単独で法律行
         為をさせることが危険なので)
追認権…有り
取消権…有り

 

被保佐人
定義
精神上の障害により事理弁識能力が著しく不十分であり、家庭裁判所の保佐開始の審判を受けた者

 

能力
原則 自ら法律行為をすることが出来る
例外 13条1項の行為については保佐人の同意を要する。ただし日用品の 
     購入やその他の日常生活に関する行為は単独ですることが出来る。

 

 

(保佐人の同意を要する行為等)

第十三条  被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
一  元本を領収し、又は利用すること。
二  借財又は保証をすること。
三  不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
四  訴訟行為をすること。
五  贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法 (平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項 に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
六  相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
七  贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
八  新築、改築、増築又は大修繕をすること。
九  第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること(保護者の権能)

 
保護者…保佐人
代理権…代理権付与の審判があれば有り
同意権…有り
追認権…有り
取消権…有り

 

被補助人
定義…精神上の障害により事理弁識能力が不十分
           あり、家庭裁判所の補助開始の審判を受けた者

 

能力…原則 自ら法律行為をすることができる
     例外 13条1項の行為の中から家庭裁判所が定
                    めた特定の一部については補助人の同意
                    を要する。ただし日用品の購入やその他の
                    日常生活に関する行為は単独ですることが
                    出来る。

 

(保護者の権能)
保護者…補助人
代理権…代理権付与の審判があれば有り
同意見…同意見付与の審判があれば有り
追認権…同意見付与の審判があれば有り
取消権…同意見付与の審判があれば有り

 

制限行為能力者の相手方

 制限行為能力者がした取り消しうる法律行為は、取り消すまでは有効に成立している。それにより、取引の相手方はいつ取消がされて無効になってしまうか分からないというとても不安定な立場に置かれることになる。そこで民法は制限行為能力者の取引の相手方の保護について以下の規定を置いている

 

@催告権
A制限行為能力者が詐術を用いた場合の取消権の喪失
B法定追認
C取消権の期間の制限

 

催告権(民20条)

 制限行為能力者の取引の相手方は、期間を定め、その期間内に取り消しうる行為を追認するか取り消すかの確答をしてくれと催告ができる。
 

確答が得られた場合

その期間内に「追認する」と確答されれば取引は有効なものとして確定できるし、「取り消す」と確答されれば取引は無効となる。
どちらにせよ、有効か無効かの確定が出来るので不安定な立場からは脱出できることになることで保護されたといえる。
 

確答が得られない場合

催告に対して「追認」または「取り消す」の確答が得られればよいが、確答を得られないケースもある。その場合は、相手方がした催告を誰に向けてしたのかによって扱いが異なる。
 
@制限行為能力者が行為能力者になった後にその本人に対して催告を
  した場合→追認したとみなす
 
A制限行為能力者の法定代理人、保佐人、又は補助人に対してその権
  限内の行為について催告をした場合→追認したとみなす
 
B特別の方式を要する行為(後見人が単独で追認できず後見監督人の
  同意が必要など)の場合→取り消したとみなす
 
C被保佐人または17条1項の審判を受けた被補助人に対して、保佐人ま
  たは補助人の追認を受けるように催告した場合→取り消したとみなす
 
まとめ:催告された側が単独で有効な追認が出来るなら追認したとみなさ
     れ、単独で有効な追認が出来ないなら取り消したとみなす

 

制限行為能力者の詐術(民21条)

 制限行為能力者が自己を行為能力者であると信じさせるために詐術
(相手をだます行為)を用いた場合はその行為は取り消すことが出来ない。
 
・偽造された身分証明書を提示した
・自分が行為能力者であると説明した
・法定代理人の同意を得ていると嘘をついた
などがある。
 
この詐術を用いたというのは、制限行為能力者本人が詐術を用いたという意味であって、第三者の詐術により取引の相手方が勘違いをしただけでは取消権は喪失しない。
 

法定追認(民125条)

法定追認とは,一般的社会通念上、追認したと思われても仕方ないような行為を追認権者がすることにより、追認したと法的にみなされる事。
具体的には以下

法定追認

第百二十五条  
前条の規定により追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について次に掲げる事実があったときは、追認をしたものとみなす。ただし、異議をとどめたときは、この限りでない
一  全部又は一部の履行
 
二  履行の請求
 
三  更改
 
四  担保の供与
 
五  取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡
 

六  強制執行

追認をすることが出来るようになった後に上記125条に掲げられた行為をし、その際に異議をとどめてなければ法定追認が成立し、以後、取消は出来なくなる。

 

取消権の期間の制限(民126条)

取消権は、追認することが出来るときから5年、または行為の時から20年間行使しないときは消滅する。

スポンサーリンク

スポンサードリンク


トップページ 試験概要と攻略